2025/11/29 Sat – 2025/12/14 Sun

Yoshimi yoshimoto cool abstract exhibition

──吉本義巳による継承と昇華──
「構成への集中」と「他者に開かれた美学」が導く現代抽象

吉本義巳の『cool abstract』は、川端実、原田治、北園克衛という三者から受け継いだ思想と美意識を、現在の感性で再構成した独自の表現体系です。
強い自己主張や説明的な要素に頼らず、構成そのものが意味を生み出すように設計されており、鑑賞者が自らの感覚で作品を読み取る余地を大切にしています。
その姿勢は、三者の精神を現代に引き継ぎながら、新しい段階へ進める実践でもあります。

1. 川端実から継ぐ「構成のエネルギー」

川端実は、アメリカ抽象表現主義の強度を吸収しつつ、日本的な均衡感覚を失わずに独自の「構成の抽象」を確立しました。
吉本の作品にも、色面の重なり、形の重心、配置のテンポなど、構造そのものに向き合う姿勢が強く現れています。
声高なメッセージではなく、構成の緊張が作品を語るという性質は、川端が追求した方向性と響き合います。

2. 原田治から継ぐ「均整」「清潔な感情」「裏の抽象性」

原田治は、イラストレーションの表舞台とは別に、私的に抽象画を描き続けていました。そこには「形と色を純粋に扱うもうひとつの場所」が存在しており、装幀的な端正さ、色面の潔さ、感情の温度を過度に上げない姿勢が共通しています。

吉本の抽象にも、
• 形態の簡素化
• 線と色の正確な配分
• 甘さに傾かない感情の扱い
といった特徴が見られ、これは原田が大切にした“均整の美学”を継承しつつ、現代的に展開している部分です。

3. 北園克衛から継ぐ「構成詩としての絵画」

北園克衛は、詩を文字の配置や紙面の構造によって視覚芸術へ拡張した作家でした。1959年の詩集『煙の直線』では、四角や三角の反復配置、行分けのリズムなどによって詩を“視覚の造形”として成立させています。

吉本の抽象画には、この北園的な発想が強く息づいています。画面上の余白、要素の距離、色面の呼応によって、絵が“読む作品”として成立する設計になっています。さらに、吉本が重んじる「他者に開かれた構成」「解釈の余白を確保する姿勢」「鑑賞者への配慮」
といった倫理観は、北園が追求した“公共性と品位”に直接つながる精神です。

──北園克衛の仕事と原田治への影響──詩・デザイン・抽象の統合──

北園克衛は、詩人だけでなく、装幀家、写真家、モダニズム詩のデザイナーとしても活躍しました。紙面の余白や行間を造形的に扱う姿勢は、「装幀とは思考を包むパッケージ」という北園自身の理念をよく示しています。

その影響は原田治にも及び、
• 余白の美学
• 色面の明晰さ
• テキストとイメージを往還する思考
が原田の抽象制作に反映されました。

吉本義巳の抽象もまた、北園→原田の系譜を踏まえ、「詩的思考+デザイン的構築」という枠組みを、現代の抽象画へ持ち込んでいます。

──吉本義巳の位置づけ──

三者の精神を束ねた“美の系譜の第三章”
川端の「構成の抽象」、原田の「均整・装幀性・清潔な感情」、北園の「詩・デザイン・視覚構成」。

この三つの流れを、吉本は折衷ではなく重層的な継承として扱っています。作品は鑑賞者に解釈を委ねる構成になっており、要素の関係性が時間をかけて見えてくるように設計されています。

その意味で吉本の《cool abstract》は、
「三者の精神を現代に接続する、第三の段階」として成立しています。

──現代における意義──

「美」「抽象」「人間のまなざし」を取り戻す表現**
概念の先行、政治性の強調、AI的な即物性が増えるいま、吉本はあくまで“作品と鑑賞者が対話するための構成”を中心に据えています。
• 感情を煽らない
• 形式を押しつけない
• 解釈の余白を確保する
• 他者に開かれた造形をつくる

この姿勢は、川端・原田・北園がそれぞれの時代で保持した“自分の基準を信じる態度”と連続しています。

吉本義巳は、川端実・原田治・北園克衛それぞれの精神を、「cool abstract」という現代的な形式に再配置し、新たな段階へ導いている作家です。

それは技法の継承ではなく、価値観・構成美・倫理観を未来へつなぐ創造的な実践です。この姿勢こそ、継ぐべき系譜を現代に引き寄せ、次の世代へ橋渡ししていく力となっています。

“吉本義巳の作品は普遍性を持ち、誰もが感動を見出せるだろう。フランスと日本の視覚的要素が融合し、高い色彩感覚とグラフィックセンスが光る。彼の師匠である原田治へのオマージュも印象的で、その影響が彼の創造性を育んだ。1950年代から1970年代の優れたニュアンスを現代にもたらしている。彼をClamマガジン(パリ発アート・カルチャー誌)で紹介できたことを光栄に思う。”
Clam 創設者クリエイティブディレクター/Clam KYOTO プロデューサー
アンディ・アマディ・オコロアフォー

【開催概要】
タイトル : cool abstract exhibition Yoshimi yoshimoto
会期 : 2025年11月29日(土)~12月14日(日)
会場 : AL(東京都渋谷区恵比寿南3-7-17)
開館時間: 12:00~19:00 
会期中は無休

レセプションパーティ:2025年12月6日(土) 17:00〜
※レセプションパーティ内でミニトークショー開催予定

 

【アーティスト情報】
■作家 吉本義巳(よしもとよしみ)
Paris発アートカルチャーメディア『clam』所属アーティスト。 Clam KYOTOのディレクター・キュレーションを担当
京都出身。美大卒業後、 広告代理店や百貨店に勤め、フリーのデザイナーに。20歳ごろよりイラストレーター・デザイナーの原田治氏に師事。マガジンハウス出版物での連載や新潮社刊行物や販促物でデザイン・挿絵・挿画などを担当。各美大各専門学校の講師を勤めつつ、 個人事務所を設立、 グラフィックデザインからエディトリアルデザインやプロダクトデザインや店舗デザインまで手がける会社として法人化。現在京都を拠点とするdesign studio paperweight株式会社代表取締役。
「Rain Book(⁦https://rainbook.jp⁩)」を運営し、映画配給の分野でも積極的に取り組んでいる。
抽象画家としても活動しており、国内外で作品を発表。
今年2月に同時代ギャラリーで開催したClam KYOTO(⁦https://clamkyoto.studio.site/news/News-2025-03-01⁩)のプロデューサー・キュレーターを担当。
アートとデザインの境界を越えて幅広い分野で活躍中。

■Exhibition
2023
・『cool abstract exhibition』AL(東京)
・『cool abstract exhibition』FLORE Artist Gallery(神戸)
・『cool abstract exhibition request』FLORE Artist Gallery(神戸)
2024
・『cool abstract exhibition』AL(東京)
・『cool abstract exhibition』SCATTER BRAIN KYOMACHIYATEN(京都)
・『cool abstract exhibition vol.1』同時代ギャラリー(京都)
・『cool abstract exhibition vol.2』同時代ギャラリー(京都)
・『cool abstract exhibition Midsommar』同時代ギャラリー(京都)

フランスのアートカルチャー誌『clam』プロデュースによる展覧会
・『cool abstract exhibition l’automne à Kyoto』同時代ギャラリー(京都)

フランスのアートカルチャー誌『clam』プロデュースによる展覧会
・『cool abstract “pequeño”exhibition』Periferico(京都)
・『cool abstract exhibition MINI』辰巳茶房(神戸)
・『cool abstract exhibition book shop』EL camino(京都)
・『cool abstract exhibition 海街 seaside』ku-u-kan CAFE(神戸)
・『cool abstract exhibition cafe』NEMS CAFE(京都)
・『cool abstract exhibition chinoiserie moderne』Chinesetapas Enishi(大阪)
・『cool abstract exhibition–pequeño otoño–』Periferico(京都)
2025・『clam KYOTO“street, time”』同時代ギャラリー(京都)・『clam KYOTO POP-UP in TOKYO』AL(東京)・『cool abstract exhibition–early summer–』同時代ギャラリー(京都)・『clam KYOTO“time”』同時代ギャラリー(京都)
受賞歴
2024
art shopping paris主催者・評論家が参加者2000人の中から選ぶ「展示されたアート・アーティストの中で素晴らしいと思う作品5点」に選出。特別賞受賞

Instagram: ⁦https://www.instagram.com/paperweight_director/

公式webサイト: ⁦https://coolabstract.studio.site/⁩

 

【問い合わせ先】

design studio paperweight 株式会社

https://thebase.com/inquiry/paperweight-theshop-jp
https://www.facebook.com/DESIGNSTUDIOPAPERWEIGHT/

https://www.instagram.com/paperweight_director/