2022/02/03 Thu – 2022/02/13 Sun

第14 回恵比寿映像祭 YEBIZO MEETS(地域連携プログラム) 東恩納裕一、滝戸ドリタ / 世界の涯ての庭と室内。

第14 回恵比寿映像祭 YEBIZO MEETS(地域連携プログラム) 東恩納裕一、滝戸ドリタ / 世界の涯ての庭と室内。
At World's End, Garden and Interior ーYuichi Higashionna, Dorita Takido

日常に潜む不気味さに着目し、決然と完結する作品世界をつくりあげてきた東恩納裕一。

ロボティクス技術と人工筋肉でしなやかに動く植物を通して未来をのぞむ滝戸ドリタ。

見られることに拘らず環境に存在し、世界の涯てに残されても結実する「庭と室内」。

 

void+展示風景 東恩納裕一 2020|installation view at void+, Higashionna Yuichi, 2020

 

『The power of muscle with plants.もし植物に筋肉があったなら。』滝戸ドリタ 202||The power of muscle with plants., Dorita, 2021

 

 

____________________

第14 回恵比寿映像祭 YEBIZO MEETS(地域連携プログラム)
東恩納裕一、滝戸ドリタ / 世界の涯ての庭と室内。
At World's End, Garden and Interior ーYuichi Higashionna, Dorita Takido

主催:AL|TRAUMARIS
会場:AL 東京都渋谷区恵比寿南3-7-17 03-5722-9799
www.al-tokyo.jp
info@al-tokyo.jp

日時:2022 年2 月3 日(木)~2 月13 日(日)

11:00-19:00(最終日-18:00) 会期中無休

2 月4 日(金)18:00-20:00 オープニング(ほか会期中イベント調整中)

入場料:500 円
企画:住吉智恵(TRAUMARIS)
問合せ:traumaris@gmail.com

<<EVENTS>>
●オープニング  ※オープニングは中止、ご入場は可能です
2月4日(金)18:00-20:00
レセプション参加費 1,000円(ドネーション込)

●Zoomオンライントーク
2月10日(木)18:00-20:00
視聴料 1,500円
<第1部> 東恩納裕一(出展作家)+住吉智恵(本展キュレーター) / 18:00-19:00(予定)
<第2部> 滝戸ドリタ(出展作家)+長谷川愛(アーティスト)+切江志龍(生物測定学者) / 19:00-20:00(予定)

1/28よりArtStickerにてチケット販売
https://artsticker.app/share/events/1094

____________________

AL|TRAUMARIS は第14 回恵比寿映像祭 公式プログラム YEBIZO MEETS(地域連携プログラム)に参加いたします。例年の通り、本年も映像祭の総合テーマと緩やかに連動する展覧会を企画しました。

今回の恵比寿映像祭の総合テーマは「スペクタクル後 After the Spectacle」。そこで着目したのは「人に見られている/いないに関わらず環境に存在する営み」です。
多くの人々に見せること、注目を集めることだけを目的としないアクションやたたずまいに、定点観測、観察日記、パーソナルジャーナル、ビハインドストーリーといったオルタナティブな視点を見いだすことから本展の企画は始まりました。

東恩納裕一は、ふだんから馴染みがありながら、どこかよそよそしい疎遠な距離感を感じさせる“不気味なモノ” (ジグムント・フロイト)をキーワードに、日常に潜む異化された感覚をテーマとする作品を長年にわたり制作してきました。
東恩納は、2020 年から2021 年にかけてvoid+で開催された個展*で、表層的には室内・家具を意味する「interior」という言葉の第一義である“内面”に着目しました。多くの人にとって室内そして内面に引きこもり、内省的に物事に対峙せざるを得なくなったコロナ禍の事象への観察を経て、この視点をさらに掘り下げたコンセプトが本展で表明されます。
本展では、東恩納のアイコンであるLEDの シャンデリア、スプレーペイントの絵画、アニメーション映像などが混在し、ひと気を感じさせないせいせいとしたたたずまいが出現します。インスタレーションはキワのキワまでゆきわたる洗練された美学と共に、「観られる」ことを要求も拒絶もしない、決然とした存在の完結性を感じさせます。
作家は当初、高度成長を象徴する蛍光灯の眩い光を偏愛してきた戦後日本文化に対するアイロニーとしてこの“シャンデリア”を企図しましたが、暴力的なほどの光量を放つ本作品は観るひとにパンキッシュな痛快さや幻惑的なカタルシスを与えました。それはまさに万人にわかりやすいスペクタクル表現に倦み、過剰なものに覚醒させられる「ポスト・スペクタクル」時代の非日常的な快楽ともいえるでしょう。
新作の平面作品では、スプレーペイントでストライプ模様を施した布にマチ針でフェルトの切り文字をパッチワークしています。そこに記述されるのは東恩納が長年モチーフに選んできたアンデルセン童話「マッチ売りの少女」の一節。黒いラインに半ば隠蔽されたテキストは、安倍政権時代にぬけぬけと黒塗りされた偽造公文書のグロテスクな有り様から着想されました。
同じく「マッチ売りの少女」と題されたアニメーションは多彩なバリエーションで繰り返し再構成されてきたシリーズです。少女が死の直前に見た暖かい室内の幻影、温かい家庭の象徴であるたくさんのごちそうが盛りつけられたダイニングセットのシルエットは、世界の涯の銀幕の彼方で永遠にロンドを踊り続けます。ここで想起させる現代社会の格差と貧困の実情にも東恩納は伶俐な視線を注いでいます。

滝戸ドリタ(Dorita)は、2016 年に第7 回恵比寿映像祭に出展した、虫の足音を音と振動で体感させる『Bug’s Beat』で注目され、アルスエレクトロニカでも受賞経験をもつ気鋭のアーティストです。
2021 年夏、千葉県幕張市の日本庭園を舞台に夜間のみ開催された芸術祭「生態系へのジャックイン」では、ロボティクス技術によって人工筋肉を施し、まるで自らの意思で動いているかのように運動する植物を出展しました。
ジル・クレマンの著書「動いている庭」によれば、植物は自然の遷移の作用として動き、そのダイナミズムの中で自然であり文化である庭を構成し変化させています。ロボティクス技術で筋肉を強化され、しなやかに動く植物たちは、生き物が本来備えている環境適応力のしたたかさをユーモラスかつリリカルに可視化しています。
素早く動くことなく多くのことを為し得、繁栄を遂げている植物は、すでに私たちより自由で伸びやかな世界を生きているともいえます。世界の涯ての無人の庭では、植物は他の生物の力を借りずとも活発に動き回り、かつて移動の自由を謳歌してきた人類をいま以上に凌駕しているかもしれません。
アート、デザイン、ゲームや映像など多方面の活動経験から得た考察をもとに、ドリタは異なる機能や感覚を組み合わせることによって、これまで私たちが自然であり常識であると思い込んできた感覚をずらしてしまうような体験を作りだしてきました。コンパクトなデジタルツールを軽やかに駆使して、私たちの身近にある機構を自由な発想で変容させる実験精神は、飛躍的な生産性を獲得するため、あるいは人が失った機能を取り戻すために開発されてきたテクノロジーと生態系の関係について思考するきっかけを与えてくれます。

ドリタと東恩納のインスタレーションを交錯させた展示空間には、鑑賞者や管理者が観ていようがいまいがお構いなく、たとえ人類のいない世界の涯に取り残されても粛々とその営みを続け、環境の中でキッパリと存在を結実させる「庭と室内」のイメージが出現します。

住吉智恵
アートプロデューサー、RealTokyoディレクター

≪作家紹介≫
東恩納裕一 Higashionna Yuichi
東京生まれ。1990 年代より、日常のなかに潜む馴染みがありながらも疎遠な距離感を感じさせる“不気味なモノ”(ジグムント・フロイト)をキーワードに、インテリア/interior をモチーフとした作品を制作する。代表作として、蛍光灯/LED のシャンデリア、モチーフを17 世紀オランダの静物画Vanitas に、技法をグラフィティに触発されたラッカースプレーによる“花の絵画”、ストライプ・モアレを援用したオプティカルなインスタレーションなどがある。

SOLO EXHIBITION
2020 Ota Art Archives(OAA) #2
2019 VOID+ (東京)
2019/2015/2014 Capsule (東京)
2017/2009 日本橋高島屋
2016/2014/2012/2010 Yumiko Chiba Associates viewing room Shinjuku(東京)
2015/2011 Marianne Boesky Gallery, Uptown/Chelsea(ニューヨーク)
2012/2010 Nadiff(東京)
2012/2008 calm & punk gallery(東京)
2010 Venice Project (ベネチア)
2009 「変成態-リアルな現代の物質性 vol.4」gallery αM(東京)
2008 Marianne Boesky Gallery, Project Space(ニューヨーク)
GROUP EXHIBITIONS / FESTIVALS
2019 「重なりと作用」神山靖弘との2人展 The Third Gallery Aya(大阪)
2015/2011 glasstress(ベネチア)
2015 六本木アートナイト(東京)
2013「アートがあればII ─9 人のコレクターによる個人コレクション」東京オペラシティアートギャラリー(東京)「Junkies’Promises」PAUL KASMIN GALLERY(ニューヨーク)
2012 Rokko Meets Art(神戸)
Daikanyama Art Street (東京)
2011/2008 「MASKED PORTRAIT I&II」Marianne Boesky Gallery(ニューヨーク)
2010 「The New Décor」Hayward Gallery (ロンドン)
2009 「インシデンタル・アフェアーズ うつろいゆく日常性の美学」サントリーミュージアム[天保山](大阪)  「Constructivismes」アルミン・レッシュ ギャラリー(ブリュッセル)
2007 「六本木クロッシング2007 未来への脈動」森美術館(東京)
2006 「愉しき家 Enjoyable House」愛知県美術館(名古屋)

 

Dorita(滝戸ドリタ)
アーティスト/ディレクター/デザイナー 東京を拠点とする。
https://dorita.jp

ファインアートとデザイン、ゲームや映像など多方面での経験から、異なる機能や感覚を組み合わせることによって、いままでの感覚がずれるような新たな体験を作り上げる。また作品の発想は突飛であっても、テクノロジーと洗練されたデザインを並走させながら、多くの人が入っていける思考の入口を作る。
主な受賞に、虫の足音を音と振動で体感させる「Bug’s Beat」にて「PRIX ARS ELECTRONICA & STARTS Prize 2017」DIGITAL MUSICS & SOUND ART 部門 Honorary Mentions(2017 年)受賞、形を持たない流動系の楽器「スライムシンセサイザー」では「第18 回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞(2014 年)受賞。2016 年度、2019 年度メディア芸術クリエイター育成支援事業2 度に渡り採択 。2019 年 生物学とソフトロボティクスを学ぶ「SOFT ROBOTICS Collective 生命と機械の学校」を主宰。オランダ・ユトレヒトでの海外展示など国内外で活動している。

EXHIBITIONS / FESTIVALS
2021 「生態系へのジャックイン」出展
2020 文化庁メディア芸術祭日本科学未来館
2020 「ENCOUNTERS」in 東急プラザ銀座
2020 《SOFT ROBOTICS Collective 生命と機械の学校》 vol.02 「生き物から学ぶ、しっぽから考える、これからのロボティクス。 Talk Session」in fabcafeMTRL SHIBUYA
2019 《SOFT ROBOTICS Collective 生命と機械の学校》 vol.01 「人工筋肉ってなんだろう Work Shop + Talk Session」in fabcafe MTRL SHIBUYA
2018 「科学と芸術の丘2018」in 松戸
2018 「虫を聞き虫を食べる ‒ バグズ納涼祭」 in fabcafeMTRL SHIBUYA
2017 「Bug’s Beat」exhibition アルスエレクトロニカ & STARTS PRIZE in ベルリン
2017 「Bug’s Beat」exhibition アルスエレクトロニカ & STARTS PRIZE in Linz ,Austria
2017 「Bug’s Beat」exhibition Tweetakt Festival in オランダ/ユトレヒト 4 月-5 月
2017 「Bug’s Beat」ワークショップ@ボーダレス・アートミュージアムNO-MA京都
2016  ヘボコン審査員 in TOKYO DESIGN WEEK
2016 「Bug’s Beat」文化庁メディア芸術祭20 周年企画展 パフォーマンスディ01 出展
2016 「Slime Synthesizer」第1 回《京都OKAZAKI LOOPS》出展
2016 「Bug’s Beat」Artspace kimura Ask?にてグループ展参加
2016 「Slime Synthesizer」 “Maker Faire Singapore
2016” Singapore University of Technology and Design, シンガポールExhibition & Work shop(Slime Synthesizer)
2016 「Bug’s Beat」制作第8 回「恵比寿映像祭」出展
2015 インターネットヤミ市 In ニューヨーク Knock Down Center
2014 インターネットヤミ市台湾 Taichung, Taiwan National Taiwan Museum of Fine Arts
2014 インターネットヤミ市 Internet Yami-Ichi in Brussels, Belgium Les Ateliers des Tanneurs
2014 インターネットヤミ市4 札幌国際芸術祭参加
2014 インターネットヤミ市3 Internet Yami-Ichi 3Transmediale 2014 at HKW, ベルリン
2013 インターネットヤミ市2 Kaibutsu Inc. 東京 参加
2012 インターネットヤミ市1 Trans Arts 東京 参加(http://yami-ichi.biz/)

AWARDS/SELECTIONS
2019  令和1 年度メディア芸術クリエイター育成支援事業採択「もし植物に筋肉があったら」「生命と機械の学校」
2017 「Bug’s Beat」アルスエレクトロニカ デジタルミュージック&サウンドアートHonorary Mentions 受賞
2017 「Bug’s Beat」STARTS PRIZE ノミネート
2015  サウンドデバイス平成27 年度メディア芸術クリエイター育成支援事業採択
2014  第18 回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門 新人賞

MUSIC PERFORMANCE
2016 「Slime Synthesizer」ササノマリイとスライムシンセサイザーでコラボセッション2015 「Slime Synthesizer」NHK-FM『やくしまるえつこ科学音楽実験室』 dimtakt やくしまるえつこ、レーザーギター ドラびでお、OPTRON 伊東篤宏 、スライムシンセサイザー・ドリタのセッション

 

 

 

 

※必ずマスクを着用したうえでご入場くださるようお願いします。
※新型コロナウィルス感染防止のため、ご入場時の検温、手指の消毒、状況に応じた一時入場制限などの施策にご協力ください。