2019/02/07 Thu – 2019/02/17 Sun

第11回恵比寿映像祭 地域連携プログラム企画 The Grateful (to) Dead うつゆみこ 南風食堂 田中麻記子

第11回恵比寿映像祭 地域連携プログラム企画
The Grateful (to) Dead うつゆみこ 南風食堂 田中麻記子
The Grateful (to) Dead —Yumiko Utsu, NANPUSHOKUDO, Makiko Tanaka

会期:2019年2月7日 [ 木 ] ‐ 2月17日 [ 日 ]
会場:AL www.al-tokyo.jp
住所:東京都渋谷区恵比寿南3-7-17 1F
時間:11:00〜20:00 会期中無休(最終日のみ17:00まで)
電話:03-5722-9799
入場料: 500円(1ドリンク付き) 、イベントは別途入場料あり

 

【会期中イベント】
・オープニングレセプション:2月8日(金)18:00~21:00

・ライヴパフォーマンス: 2月15日(金)19:00〜21:30
 ライブ:αAREA
 発電ポールダンス:メガネ
 料理:南風食堂
 入場料:2,500円(1ドリンク、小さな1フード付き)
予約:info@traumaris.jp

 

《追加イベント開催決定!》
  写真家 うつゆみこトークライブ  2/16(土) 17:00〜18:00
   聴き手は本展キュレーター住吉智恵が務めます。
   今こそ、うつ的濃密世界の秘儀があらわに!
   入場料:500円+1ドリンク
   予約:不要

 

・うつゆみこワークショップ:
 A 2月11日(月祝)12:00〜15:00頃
 B 2月16日(土)12:00〜15:00頃
 参加費:4,500円(+素材購入実費) 
 予約:info@traumaris.jp

***
生きとし生けるもの〈転〉じて、他種の個体が生存するための糧となる。
食べもの〈転〉じて、滋養となり、精となり、ときには創造の源となる。
生の循環として尊ばれてきた、絶え間ない「転調」の営みを軸に、
本展では「食」をテーマとする3人のアーティストを紹介する。

 

うつゆみこ  Yumiko Utsu

©うつゆみこ『天使ごっこ』2012年(参考作品) | Yumiko Utsu《Tenshi Gokko》2012

 

うつゆみこの写真の魅力は、スーパーや小売店で買える魚貝や野菜など、生の食材固有の色形や触感を、異形のコンテクストで息づかせる「見立て」の妙だ。実際に店頭で胸のざわめきを覚えた被写体を買い求め、その色や質感を際立たせる背景をデザインし、スケール感を撹乱するオブジェと組み合せる。鮮度を保つため、シンプルなセットを素早く作りこみ、照りや艶を出すライティングを施す。
ヒエロニムス・ボスやヤン・シュヴァンクマイエルの系譜を継ぐその作品世界は、食材が本来の存在理由を一瞬で失い、万物の摂理をも開示してしまうような破壊力をもっている。日常の事物に注ぐ批評眼が毒の効いたエッセンスとなり、仄かに後ろめたい快感を呼び覚ます静物写真に刮目してほしい。

 

 

南風食堂  NANPUSHOKUDO

©南風食堂「オオカミと娘」2012 TRAUMARIS|SPACE 展示風景(参考作品)

 

料理ユニット・南風食堂は、木のつるで作られた籠のなかで、自己の感覚に向き合いながら白湯や食事を味わいつつ、アーユルヴェーダで3要素(水、火、風)と呼ばれるエネルギーを視覚や聴覚で捉えるインスタレーションを展開する。
食とは、体内に別のエネルギーを取り込み、新しいエネルギーとして変成させていくことだが、人間の野生が失われ、体感に集中する機会が減った現代に「自分以外のものが自分の中に入ってくることを感じられる装置を作りたい」とメンバーの三原寛子は言う。「アーユルヴェーダでは、食べることは体内にある火の神様に供物するという意味があり、敬虔な気持ちで食べるのが良いという教えがあります。食べること=内なる神に仕えること、という感覚を感じさせたい」

 

 

田中麻記子  Makiko Tanaka

©田中麻記子『あかいみ』2019 紙に水彩 | Makiko Tanaka “Fruits rouges”  Water color on paper 2019

 

2013年、フランスに拠点を移した田中麻記子は、それまで探求してきた個人的な幻想風景を一旦離れ、パリでの暮らしのなかで自身の目で見た移民たちの生活と多国籍文化という現実的なモチーフに関心を寄せた。なかでも世界各国の料理や食材との出合いは、くいしんぼうの画家の想像力を大いに刺激する。現在も日々飽くことなく描き続ける水彩ドローイングは、彼女の濃密で甘美な幻想絵画とは別のパラレルワールドに共存し、瑞々しく豊潤な煌めきを纏う。そこでは多様性に満ちた食の王国のフェアリーたちが、それぞれの固有の味や、形の美しさやおもしろさ、文化的背景から生まれた物語を生き生きと繰り広げる。ピエール・エルメ・パリ・ジャポン青山店のシンボル「Macaron Baby」、資生堂「花椿」Web版で連載するアニメーション&コラム『空想ガストロノミー』でも注目される、田中のシグニチャーの1つとなった本シリーズに興味は尽きない。

2003年から2015年にかけて、アートと飲食を結びつける創造環境を目指してきたTRAUMARIS。キッチンスタジオを併設し、音楽・デザイン・アート・食が密接に関わりあうAL。本展は、両者にとって重要で親密なテーマである「食」の可能性を、アーティストの表現を通して表明する好機ともなります。
会期中には、南風食堂と、発電ポールダンサー・メガネによる参加型パフォーマンスを開催します。
また、うつゆみこと共に近所の店で新鮮な魚貝や野菜を選び、セットを設えて撮影するワークショップを2回にわたり開催いたします。

 

 

企画:住吉智恵(TRAUMARIS)http://www.traumaris.jp